無機塗料のメリット・デメリットは?外壁塗装の塗料を詳しく解説

無機塗料は、石やガラス、セラミックなどの無機成分を主成分とした塗料で、紫外線や風雨に強く、長期間にわたって美しい外観を保つことができます。耐久性が高く、メンテナンスの手間も少ないため、コストパフォーマンスに優れた選択肢として注目されています。

外壁塗装を検討する際、「どの塗料を選べば長持ちするのか?」と悩む方は多いでしょう。そんな方におすすめなのが「無機塗料」です。

この記事では、無機塗料の特徴やメリット・デメリット、他の塗料との違いについて詳しく解説します。皆さんの家に最適な塗料選びの参考にしてください。

目次

無機塗料とは?

外壁塗装下塗り

一般的な塗料には、アクリルやウレタン、シリコン、フッ素などの有機成分が含まれています。これらの有機成分は紫外線や風雨によって劣化しやすく、時間が経つにつれて塗膜が傷んでしまいます。

しかし、無機塗料は無機成分が主体となっているため、長期間にわたって外壁を守ることができるのです。

比較項目評価特徴
発色の良さ色持ちが良く、鮮やかな発色を長期間維持できる
価格高価な部類に入り、初期費用がかかる
施工性伸びがやや劣るため、施工には技術が求められる
乾燥時間速乾性があるが、湿度や気温の影響を受けることがある
耐久性15~20年以上の耐用年数があり、非常に長持ちする
耐候性紫外線や雨風、酸性雨にも強く、劣化しにくい
メンテナンス汚れが付きにくく、長期間にわたり塗り替え不要

無機塗料のメリット・デメリット

モルタル壁の中塗り

無機塗料について、メリットとデメリットの両面から詳しく解説します。

無機塗料のメリット

ここでは、特に注目すべきメリットをいくつかご紹介します。

  • 圧倒的な耐久性
  • 汚れが付きにくいセルフクリーニング効果
  • 耐火性が高く、燃えにくい
  • ひび割れしにくい

1. 圧倒的な耐久性

無機塗料の最大の魅力は、その非常に高い耐久性です。通常の塗料の寿命が10〜15年程度なのに対し、20〜25年以上持つことも珍しくありません。これは、無機成分が紫外線に強く、劣化しにくいからです。

「何度も塗り替えるのは大変…」と感じる方にとって、長持ちする無機塗料は理想的な選択肢となるでしょう。

2. 汚れが付きにくいセルフクリーニング効果

「外壁がすぐに汚れてしまう…」という悩みを抱えている方も多いでしょう。無機塗料には親水性があり、雨が降ると汚れを浮かせて洗い流してくれる特性があります。

例えば、外壁にホコリや汚れが付着しても、雨が降るとそれらが自然に落ちやすくなります。これにより、長期間にわたって外壁の美しさを保つことができるのです。また、カビやコケが発生しにくいというのも大きなメリットです。

3. 耐火性が高く、燃えにくい

無機塗料は燃えにくい性質を持っているため、万が一の火災時にも燃え広がりにくいという利点があります。これは、塗料に含まれる無機成分(ガラスやセラミックなど)が燃えにくい素材であるためです。

「もしもの時のために家の防火性を高めたい」という方には、無機塗料の耐火性が安心材料となるでしょう。

4. ひび割れしにくい

建物の外壁は、温度変化による膨張・収縮を繰り返すため、塗膜がひび割れしてしまうことがあります。しかし、高品質な無機塗料は柔軟性を兼ね備えたタイプが多く、ひび割れしにくいのも特徴です。

特に寒暖差が激しい地域にお住まいの方にとっては、強くおすすめできるポイントです。

無機塗料のデメリット

これだけ優れた特性を持っていますが、もちろん完璧ではありません。例えば、一般的な塗料と比べるとコストが高めだったり、施工の難易度が上がったりする点にも注意が必要です。

初期費用が高い

無機塗料の初期費用が高い理由は、主に以下の3点が挙げられます。

デメリット説明
原材料費が高い無機塗料に使われるセラミックやガラスなどの無機成分は、一般的な有機塗料に比べてコストがかかります。
耐久性が高く、長持ちする耐久年数が大幅に伸びるため、その分のコストが反映されています。
塗装技術が必要施工の難易度が高いため、熟練した職人の技術が必要になり、人件費がかかります。

特に施工する際に高い技術を要するため、塗装業者の選び方も重要になります。

無機塗料と他の塗料の比較

住宅と外壁塗装の足場

外壁塗装に使われる塗料にはさまざまな種類がありますが、現在主流となっているのは、シリコン塗料・フッ素塗料・無機塗料の3つです。以下の表に、それぞれの特徴をまとめました。

シリコン塗料フッ素塗料無機塗料
耐久性10〜15年15〜20年20〜25年以上
価格比較的安価やや高め最も高価
㎡単価(目安)2,000〜3,500円3,500〜5,000円4,500〜6,500円
汚れにくさ普通やや高い非常に高い
耐候性標準的高い最も高い
施工のしやすさ比較的容易やや難しい難易度が高い

シリコン塗料の特徴

シリコン塗料は、コストと耐久性のバランスが良いため、多くの住宅で使用される人気の塗料です。耐用年数は10〜15年程度で、比較的入手しやすく、施工のしやすさも魅力の一つです。

また、シリコンは親水性を持っているため、ある程度の防汚効果が期待できます。ただし、経年劣化により防汚性能が落ちることがあり、「長期間、美観を保ちたい」という方にはやや物足りないかもしれません。

フッ素塗料の特徴

フッ素塗料は、耐久性がシリコン塗料よりも高く、15年〜20年ほど持つのが特徴です。特に、紫外線や雨風に強く、劣化しづらいため、マンションや商業施設などメンテナンス頻度を減らしたい建物に多く採用されています。

耐候性や汚れにくさも申し分なく、一般家庭でも「少し高くても長持ちさせたい」という方には適した選択肢です。しかし、価格がシリコン塗料よりも高めである点と、塗膜が硬いため割れやすくなることがある点には注意が必要です。

無機塗料のコストと施工の難易度

外壁塗装の足場とシートと職人

無機塗料には優れた耐久性や美観維持のメリットがありますが、「価格が高い」「施工が難しい」といった点が気になる方も多いのではないでしょうか?ここでは、導入コストや施工の難易度について詳しく解説していきます。

施工の難易度が高い理由

無機塗料は他の塗料に比べて施工が難しいと言われていますが、それはなぜでしょうか?

1. 塗料の密着性が異なる

無機塗料は、通常の塗料と比べて下地への密着性が低い場合があります。そのため、しっかりとした下地処理が必要不可欠になります。

下地処理を丁寧に行わなかった場合、塗膜が剥がれるリスクが高まるため、経験豊富な職人よる施工が不可欠です。

2. 均一に塗るのが難しい

無機塗料は硬質な塗膜を形成しやすく、均一に塗るのが難しい塗料の一つです。そのため、スプレー塗装や手塗りの技術力が求められ、施工不良を防ぐためには、スキルの高い職人による作業が必要になります。

3. 乾燥時間や気候による影響

気温や湿度によって乾燥時間が異なるため、適切な環境での施工が求められます。特に、寒冷地や梅雨時期などは施工のタイミングに注意が必要です。

信頼できる施工業者の選び方

無機塗料は非常に高品質な塗料ですが、施工技術が伴わないとその性能を十分に発揮できません。そのため、塗装業者選びがとても重要になります。

信頼できる業者を選ぶためのポイントをいくつかご紹介します。

選ぶポイント説明
施工実績が豊富過去に無機塗料の施工を行った実績があるか確認しましょう。
施工後の保証がある施工不良の場合でも保証がついているかをチェックしましょう。
見積もり内容が明確材料費、施工費、足場代などがしっかり記載されているか確認しましょう。

「値段が安いから」といって施工業者を選んでしまうと、後々不具合が出る可能性があるため、慎重に選ぶことが大切です。

長期的に見たコストパフォーマンス

初期費用が高めな無機塗料ですが、20年以上の耐久性があるため、長期的に見ると通常の塗料よりもコストパフォーマンスが高い可能性があります。

例えば、10〜15年ごとにシリコン塗料を2回塗り替えるコストと、無機塗料を1回塗装するコストを比較すると、メンテナンス費用を抑えられる可能性が高いのです。

短期的なコストではなく、将来を見据えて検討することが重要です。

無機塗料を選ぶ際のポイント

家とひらめき

無機塗料を選ぶ際に重要なのは、以下の3つのポイントです。

1. 含有成分をチェックする

「無機塗料」と一言で言っても、その成分構成はメーカーや製品によって異なります。中には成分の割合が少なく、実質的に有機塗料と大差ないという製品もあるため、選ぶ際には注意が必要です。

注目すべきポイントは、以下の2点です。

ポイント説明
無機成分の比率ガラス・セラミックなどの成分が高いほど耐久性が高い
有機樹脂の種類アクリル系かシリコン系かで性能が変わる

無機塗料は、通常「完全無機」ではなく、有機成分と混合されています。一般的には、無機成分の割合が多いほど耐久性が高く、汚れにくい塗膜が形成されるため、なるべく無機成分の含有量が多いものを選ぶのがおすすめです。

2. 建物の立地や環境に適したものを選ぶ

家の立地や環境によって、適した無機塗料の種類が異なります。例えば、以下のようなケースが考えられます。

環境推奨される無機塗料の特徴
海の近く塩害に強い
日当たりが悪く湿気が多い防カビ・防藻効果が高い
都市部で排気ガスが多い自浄作用がある
寒冷地低温でも柔軟性を保つ

無機塗料の中には、「親水性が高くセルフクリーニング効果の優れたもの」「防汚性に特化したもの」といった特徴を持つものがあります。自分の住環境に合った特性の無機塗料を選ぶことが、より長持ちする外壁塗装につながります。

3. 信頼できるメーカー・ブランドを選ぶ

無機塗料はさまざまなメーカーが販売していますが、品質や耐久性には大きな差があります。信頼できるメーカーのものを選ぶことで、「思っていた性能が発揮されない…」という後悔を避けることができます。

以下は、国内で評判の良い無機塗料メーカーの一例です。

メーカー特徴
エスケー化研長年の実績があり、親水性の高い無機塗料を多数展開
日本ペイント製品バリエーションが豊富で、コストパフォーマンスが良い
関西ペイント高耐久性タイプの無機塗料があり、実績も多数

価格だけで選ぶのではなく、評判や施工事例を参考にしながら、最適なメーカーの無機塗料を選びましょう。

まとめ

日があたってる家

無機塗料は、高耐久・防汚性能・メンテナンスコストの削減など、さまざまな魅力がある塗料です。しかし、種類が多いため、含有成分・用途・メーカー・施工業者の実績をしっかり確認した上で選ぶことが重要です。

また、適切な下地処理や施工時期を守ることで、無機塗料のメリットを最大限に引き出せます。信頼できる施工業者と相談しながら、自宅に最適な無機塗料を選び、長期的に美しく、強い外壁を手に入れましょう!

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