シリコン塗料は、多くの住宅や建物の外壁塗装に採用されている人気の塗料です。
しかし、シリコン塗料には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。本記事では、シリコン塗料の基本的な特徴から、メリット・デメリット、さらには他の塗料との比較まで詳しく解説します。外壁塗装を検討している方にとって、最適な塗料選びの参考になれば幸いです。
シリコン塗料とは?
シリコン塗料は、外壁塗装において広く使われる塗料のひとつです。その理由は、耐久性やコストパフォーマンスのバランスが良いためです。しかし、一口にシリコン塗料と言っても、成分や種類によって性能が異なります。ここでは、シリコン塗料の基本的な特徴や種類について詳しく説明していきます。
。
比較項目 | 評価 | 特徴 |
---|---|---|
発色の良さ | 鮮やかな色合いで、デザイン性が高い | |
価格 | 高級塗料に比べると安価だが、アクリル塗料よりは高め | |
施工性 | 伸びが良く、刷毛やローラーで簡単に塗装可能 | |
乾燥時間 | 速乾性があり、短時間で仕上げられる | |
耐久性 | 10~15年の耐用年数で、コストパフォーマンスが良い | |
耐候性 | 紫外線や雨風に強く、ひび割れや色あせが起こりにくい | |
メンテナンス | 長持ちするが、環境によっては定期的な塗り替えが必要 |
シリコン塗料のメリット
シリコン塗料は、多くの建物に採用される人気の塗料ですが、その最大の理由は「コストと性能のバランスが優れている」点にあります。耐久性が高く、比較的手頃な価格で施工できるため、住宅の外壁塗装に適しています。
シリコン塗料の主なメリットについて詳しく解説します。
コストパフォーマンスの良さ
「高品質な塗料は、どうしても費用が高くなってしまうのでは?」と不安になる方もいるかもしれません。しかし、シリコン塗料は耐久性と価格のバランスが非常に良いのが特徴です。
塗料の種類 | 耐久年数 | 価格(1㎡あたり) | 特徴 |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 5~8年 | 約1,000~1,500円 | 低価格だが耐久性は短め |
ウレタン塗料 | 8~10年 | 約1,500~2,500円 | 柔軟性があり密着性が高いが、紫外線にやや弱い |
シリコン塗料 | 10~15年 | 約2,500~3,500円 | コストパフォーマンスが良く、耐久性・汚れに強い |
フッ素塗料 | 15~20年 | 約3,500~5,000円 | 非常に耐久性が高いが、コストが高い |
無機塗料 | 20~25年以上 | 約4,000~6,000円 | 最高クラスの耐久性を誇るが、価格も高額 |
優れた耐候性で長持ち
塗り替えの頻度をできるだけ減らしたい方にとって、耐候性の高さは非常に重要なポイントです。シリコン塗料は紫外線や雨、風によるダメージを受けにくく、劣化しにくい特性を持っています。そのため、塗り替えサイクルを長くできるので、結果的にトータルコストの節約にもつながるのです。
実際、外壁塗装を行う回数と、1回の施工費用から20年間の総コストを計算してみると、次の表のようにシリコン塗料のコスパが優れていることが分かります。
塗料の種類 | 耐久年数 | 1回の施工費用(30坪の住宅) | 20年間の塗り替え回数 | 20年間の総コスト |
---|---|---|---|---|
アクリル塗料 | 5~8年 | 約50~70万円 | 3回 | 約150~210万円 |
ウレタン塗料 | 8~10年 | 約60~80万円 | 2~3回 | 約120~240万円 |
シリコン塗料 | 10~15年 | 約70~90万円 | 1~2回 | 約70~180万円 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 約100~120万円 | 1回 | 約100~120万円 |
撥水性が高く、汚れにくい

シリコン塗料には撥水性が高いという特徴があり、雨水とともに汚れが流れ落ちる「セルフクリーニング効果」が期待できます。特にホコリや排気ガスの汚れが気になる住宅や、湿気の多い地域では大きなメリットとなるでしょう。
一般的にアクリル系やウレタン系の塗料よりも耐久性が高く、フッ素塗料ほど高価ではないため、多くの家庭で選ばれています。つまり、「コストを抑えながら長持ちさせたい」という方には最適な選択肢なのです。
シリコン塗料のデメリット
シリコン塗料には多くのメリットがありますが、欠点が全くないわけではありません。外壁塗装の塗料を選ぶ際には、デメリットもしっかり理解しておくことが大切です。
シリコン塗料の代表的なデメリットについて詳しく解説します。
ひび割れのリスク
シリコン塗料は耐久性が高い反面、塗膜が比較的硬いため、建物の動きに追従しにくいという性質があります。特に木造住宅など、気温や湿度の変化によって膨張・収縮を繰り返す建物では、ひび割れ(クラック)が発生する可能性があります。
ひび割れが生じると、そこから雨水が侵入し、建物の劣化を早める原因になります。そのため、クラックが発生しやすい環境では、柔軟性の高いウレタン塗料などを選択する方が適している場合もあります。
種類の多さによる選択の難しさ
シリコン塗料には、水性・油性(溶剤)、1液型・2液型といった多くの種類があります。それぞれに異なる特徴があるため、適切な製品を選ばないと期待する性能が得られないことがあります。
分類 | 特徴 |
---|---|
水性シリコン塗料 | 環境に優しく、臭いが少ないが、密着性はやや低め |
油性(溶剤)シリコン塗料 | 密着性が高く耐久性に優れるが、臭いが強い |
1液型シリコン塗料 | 施工が簡単でDIY向けだが、耐久性はやや低め |
2液型シリコン塗料 | 耐久性が高く長持ちするが、施工の手間がかかる |
例えば、水性塗料は環境に優しく臭いが少ない一方で、密着性がやや劣る場合があります。逆に油性(溶剤)塗料は密着性が高く耐久性に優れますが、臭いが強く、施工の際には十分な換気が必要になります。
また、1液型は手軽に使用できるものの、2液型に比べて耐久性が劣ることがあります。2液型は施工に手間がかかるものの、長期的な耐久性に優れているため、外壁塗装においては2液型を選ぶケースが多いです。
このように、シリコン塗料を選ぶ際には、用途や環境に応じた適切な種類を見極めることが重要です。
シリコン塗料と他の塗料との比較
シリコン塗料は、外壁塗装で広く採用されていますが、他の塗料と比較してどのような違いがあるのでしょうか?ここでは、シリコン塗料とアクリル塗料・ウレタン塗料・フッ素塗料の特徴を比較し、それぞれの強みや適した用途について解説します。
アクリル塗料との比較
アクリル塗料は価格が安く、発色が良いことが特徴ですが、耐久性が低いため、頻繁な塗り替えが必要になります。シリコン塗料と比べると、以下のような違いがあります。
項目 | シリコン塗料 | アクリル塗料 |
---|---|---|
耐用年数 | 約10~15年 | 約5~8年 |
価格 | 中程度 | 低価格 |
耐久性 | 高い | 低い(劣化が早い) |
防汚性 | 高い(雨で汚れが落ちやすい) | 低い(汚れが付きやすい) |
適した用途 | 戸建住宅、マンションなど | 仮設建物、短期間の塗装など |
アクリル塗料は低コストで塗装できるものの、耐久性が低く、頻繁なメンテナンスが必要です。そのため、長期間の使用を考えるなら、シリコン塗料の方が適しています。
ウレタン塗料との比較
ウレタン塗料は柔軟性があり、細かい部分の塗装に向いていますが、耐久性や耐候性ではシリコン塗料に劣ります。
項目 | シリコン塗料 | ウレタン塗料 |
---|---|---|
耐用年数 | 約10~15年 | 約7~10年 |
価格 | やや高め | 中程度 |
耐久性 | 高い | 中程度 |
柔軟性 | 低い(硬く、ひび割れのリスクあり) | 高い(建物の動きに追従しやすい) |
適した用途 | 外壁・屋根など広範囲の塗装 | 窓枠や細かい部分の塗装 |
ウレタン塗料は塗膜が柔らかいため、細部や木部の塗装には適していますが、外壁全体の塗装では耐久性の高いシリコン塗料の方が優れています。
フッ素塗料との比較
フッ素塗料は、シリコン塗料よりもさらに耐久性・耐候性に優れていますが、その分価格も高くなります。
項目 | シリコン塗料 | フッ素塗料 |
---|---|---|
耐用年数 | 約10~15年 | 約15~20年 |
価格 | 中程度 | 高価格 |
耐久性 | 高い | 非常に高い |
防汚性 | 高い(セルフクリーニング効果あり) | 非常に高い(汚れがほとんど付かない) |
適した用途 | 一般住宅、マンション | 高層ビル、大型施設 |
フッ素塗料は、メンテナンスコストを抑えられるため、高層ビルや公共施設などに向いていますが、一般住宅の外壁にはコスト面で負担が大きいことがデメリットです。そのため、コストと耐久性のバランスを考えると、シリコン塗料が最適な選択肢となることが多いです。
シリコン塗料を選ぶ際のポイント
シリコン塗料は多くのメリットを持つ塗料ですが、最適な製品を選ぶにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。建物の環境や施工業者の選び方によって、仕上がりや耐久性に大きな違いが出るため、慎重に検討することが大切です。ここでは、シリコン塗料を選ぶ際に注意すべきポイントについて解説します。
建物の構造や環境の考慮

シリコン塗料を選ぶ際には、建物の立地や気候、外壁の材質に適したタイプを選ぶことが重要です。例えば、以下のような環境では塗料の特性を考慮する必要があります。
環境・条件 | 適したシリコン塗料の種類 |
---|---|
湿気が多い地域 | 防カビ・防藻性能の高いタイプ |
日差しが強い地域 | 紫外線に強い高耐候性タイプ |
沿岸部(塩害がある地域) | 耐塩害性の高い油性シリコン塗料 |
寒冷地(温度差が激しい地域) | 柔軟性があり、ひび割れしにくいタイプ |
特に、湿気の多い地域ではカビや藻が発生しやすいため、防カビ・防藻性能を備えたシリコン塗料を選ぶと良いでしょう。また、寒冷地では気温の変化による膨張・収縮の影響を受けやすいため、塗膜が割れにくい製品を選ぶのがポイントです。
具体的なシリコン塗料
シリコン塗料は多くのメーカーから販売されており、品質にも差があります。そのため、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。代表的な塗料メーカーとして、以下のような企業が挙げられます。
塗料名(メーカー) | 特徴・用途 (耐用年数目安) |
---|---|
クリーンマイルドシリコン(エスケー化研)![]() | 弱溶剤2液型シリコン塗料。シリコン樹脂にセラミックを複合した高機能塗料で、汚れが付着しにくい超低汚染性を発揮。サイディングやモルタルはもちろん、金属系外壁など様々な下地に対応。シリコン系の中でも耐候性が高く、期待耐用年数12~15年と長持ち。価格と耐久のバランスが良いため戸建て塗装で主流。 |
パワーオーデフレッシュSi(日本ペイント)![]() | 水性2液型シリコン塗料。希少な水性タイプの2液硬化塗料で高い注目を集める。優れた耐候性・防水性を持ち、排気ガスや雨汚れも付着しにくい強靭な塗膜を形成。下地を選ばず密着し、美観を長期間維持。耐用年数はおよそ10~15年。長期的な住宅保護に向く。 |
ユメロック(ロックペイント)![]() | 弱溶剤2液型シリコンウレタン塗料。シリコン樹脂とウレタン樹脂のハイブリッドにより、高耐候性・低汚染性を両立。光沢保持や色あせ抵抗性が強く、寒暖差や衝撃による塗膜劣化も起こりにくい。耐用年数は一般的なシリコン(10~15年)を上回る実績があり、トータルコストを抑えたい住宅に採用される。 |
リファイン1000Si-IR(アステックペイント)![]() | 水性シリコン塗料(遮熱機能付)。紫外線劣化を抑制するラジカル制御技術と無機成分の配合により、高い耐候性を発揮。超低汚染性も備え、雨筋汚れなど外壁の美観を長期間保持する。期待耐用年数は約15~18年と通常のシリコンを超える。遮熱効果で室内温度上昇も抑える高機能製品。 |
シリコン塗料は外壁塗装に最適な選択肢か?
ここまでシリコン塗料の特徴やメリット・デメリット、他の塗料との比較、施工事例について詳しく解説してきました。では、最終的にシリコン塗料は外壁塗装にとって最適な選択肢と言えるのでしょうか?
- コストと耐久性のバランスを重視したい場合
- 長期間メンテナンスの手間を減らしたい場合
- 外壁の汚れを抑え、美しい状態を維持したい場合
- 住宅や商業施設など、幅広い用途で使用したい場合
シリコン塗料は、耐用年数が10~15年と長く、価格と性能のバランスに優れているため、多くの住宅や建物に適した塗料と言えます。
- さらに高い耐久性を求める場合 → フッ素塗料の方が適している
- ひび割れが発生しやすい建物の場合 → 柔軟性のあるウレタン塗料が向いている
- 短期間での塗り替えを前提としている場合 → 価格の安いアクリル塗料も選択肢に
建物の構造や環境に応じて、適切な塗料を選ぶことが大切です。
シリコン塗料は、価格・耐久性・メンテナンス性のバランスが取れた「万能塗料」として、多くの住宅・建物に採用されています。特に、初めての外壁塗装や、長持ちする塗料を選びたい場合には、最適な選択肢の一つとなるでしょう。